天牛書店 天神橋便り

当店は明治40年の創業以来「ふるほんや天牛」と大阪の皆様に親しんでいただいております。 洋書から和本まで、時代・ジャンルを問わず、ちょっとユニークで楽しい本との出会いをお届けします。  【天神橋店では、当分の間販売のみとさせて頂いております。ご了承下さい。】

戦前発行の動植物の栽培、育成の指南書のご紹介。

今回は天神橋店店頭でご覧になれる書籍の中から「戦前発行の動植物の栽培、育成の指南書」というテーマで、4冊ご紹介したいと思います。

 

1冊目は「養兎全集」(昭和6年 市川種兎研究所発行)です。

「兎の飼育は世界的に漸次増大してきて、我國に於いても最近、不況の刺激により、有利な副業として一般のセンセーションを起し、養兎熱勃興の著しきものがあることは・・・・・」

という序文から本書は始まります。その内容は函に描かれた可愛らしいイラストからは想像できないくらい多岐にわたり、兎の種類による育成法の違い、兎の病気についての記述はもちろん、良質な毛皮をもつ兎、品評会用にむけての兎の育て方まで詳しく解説されています。

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2冊目は「シェパード犬の飼ひ方」(昭和8年 中島基熊著 春陽堂発行)です。

本書の特徴としては、一般的な飼育法と共に著名人の飼っているシェパードを写真付きで紹介している点でしょうか。久邇宮朝融王殿下もその愛犬と共に写真で紹介されています。

また「犬の見せ方と撮影」といった項があるなど、ただ単に犬の飼い方を紹介するだけでなく著者のシェパードへの愛が感じられる一冊です。

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3冊目は「飼ひ鳥 -完- 」(鷹司信輔著 大正14年 裳華房発行)です。

飼い鳥の歴史やその飼育法などがオフセット印刷によるカラー図版を交えながら紹介されています。

手引書としても飼い鳥図鑑としても楽しめる一冊ではないでしょうか。

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最後に紹介するのは「近世渡来園藝植物」(松崎直枝著 昭和9年 誠文堂発行)です。

日本古来の植物ではなく外来種栽培法をまとめた一冊です。

現在でも人気の高い観葉植物のドラセナやユッカなども紹介されいます。栽培法だけでなく、その植物の来歴や、著者自身による栽培記録なども交えながら紹介されています。写真や図版も多く掲載されており、当時の園芸界の一面に触れることのできる一冊ではないでしょうか。

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今回は、「戦前発行の動植物の栽培、育成の指南書」というテーマで当店の書籍をご紹介いたしました。

しかしどんな分野でも先の人たちは何かしらの書籍を残してくれているものだと思います。

ご自身の趣味に関する古い書籍を探して古書店を訪ねてみるのも楽しいかもしれません。

 

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